「トレーラーハウスを移動せよ!①」第148回サルシカ隊がいく

投稿日: 2012年05月07日(月)22:16


写真/写真師マツバラ(松原 豊)※後半は稲垣博文  文/サルシカ隊長オクダ

ついに「サルシカ秘密基地計画」が始動なのだ。
昨年頭に思わせぶりなことを書いておいて、1年も放置状態であった。
しかし、ようやく、その重い腰を上げたのである。
本当に重いのだ。
読み進んでいただければ、なぜ計画が遅れたのか十分に分かっていただけるであろう。

さて、2012年4月26日のその日。
あいにくの雨であった。
朝から冷たい雨が降りしきっていた。

午前8時30分。
三重県津市久居東鷹跡町の勝田歯科医院の前に、ワレワレは静かに結集した。
移動をするまでは迷惑をかけるかも知れないので名前を伏せてきたが、今回トレーラーハウスを提供してくれたのは、津市久居のこちらの歯科医院であったのだ。

このすぐそばで生まれ育った「かっちゃん」(バカエミの夫である)の紹介で、この巨大トレーラーハウスに出会った。
古そうではあるが傷んでいる様子もなく、まさか無料でもらえるなんて全然思っていもいなかった。
が、勝田先生に実際にお会いすると、
「いいですよ、差し上げますよ」と、いかにも落ち着いた表情で言い切ったのだ。
「その代わり・・・」
あ、ホラ、やっぱり来た、と思った。
サルシカ隊全員の虫歯治療および定期健診を自分の病院でしろ、みたいな無茶な要求をされるのだ、と思った。

「あの・・・これから病院を建て替えるので、その間物置にしたいので、もうしばらく待ってください。それと輸送費用はそちらでご負担を・・・」

すみません、勝田先生。
一瞬でも貴方のことを疑ったワタクシをお許し下さい。
そうなのです。
勝田先生は何の見返りも求めず、サルシカの活動拠点のために、まったくの無料で、トレーラーハウスを提供してくれたのだ!!
ありがとうなのだ!!
もうどんどん勝田歯科医院の宣伝をして、隊員をばんばん送り込むのだ(笑)。
ギュインギュイン治療しちゃってください!

昨年の5月に話をさせていただき、今年に入っていよいよ本格的に輸送計画のための準備がはじめられた。
まずはなんといっても、上の写真左の横のでっぱり部分。
これをなんとしないと一般道を使っての輸送は絶対にムリであった。
が、押し込もうとしてもピクリとも動かない。
電動スライドをするのかと思ったが、そんなボタンはどこにもない。

「これが入らんかったら諦めてもらうしかないと思うで」

今回の輸送計画のリーダーであるヨシヒロ君にそう言われていた。
で、輸送の直前まで、キヨちゃん隊員やヨシヒロ君と何度も何度もトレーラーハウスを訪ねては、床を押したり、壁を押したりして、試行錯誤の連続であった。

最後の最後は床材を切り裂いてみたが、収納方法はわからない。

「いっかい、外から持ち上げてみよか」

持ち上げてどう収納されるのかまったく想像できなかったが、もうダメもとでみんなでやってみた。
すると、床が壁になるようにペタンと奥に倒れたのだ。
当然、床の出っ張りは壁の高さほどもないから、上部はポッカリと空間が開いて中が丸見えである。

「おいおい、マジかよ~」

そのあまりにも単純で乱暴な構造に、ワレワレはへたれ込んだのであった(笑)。

完成間近のニュー勝田歯科医院の前に大型トラックが横付けされる。

「おおお、これでトレーラーハウスを運ぶのか」とワタクシが独り言にようにつぶやくと、横にいたヨシヒロ君が首を振る。
「いや、これは地面に敷く鉄板を持ってきただけ。もっと大きなのがくるで」

そのトラックからは、大きな鉄板が何枚も下ろされた。
道路を養生するために病院の前に敷き詰められる。

トラックが来たと同時に、2人の警備員が道路で交通整理をしている。
おいおい、とんでもない大事業になってきたのだ。

写真左/作業員にテキパキと指示を出す指揮官のヨシヒロ君。
写真右下/やっさん隊員もトレーラーハウスに潜り込んで配線の処理などを行う。

活動をしていて何度も思うが、
サルシカ隊には本当にいろんな職業の人間がいるのだ。
みんなで力を合わせれば、ビルのひとつやふたつ出来ちゃうのではないかと思ってしまう(笑)。

しかし、鉄板を敷き詰め、道路を守らなければならないといのはどーいうことなのか。
なぜ警備員までいるのか。

その理由はすぐさま分かった。

ズドドドドドドドドドドドドド!!
そいつは地面を震わせながらやってきた。

写真師マツバラが「きたあ! すんごいのがきたあ! えらいこっちゃあ!!」と騒ぎながらシャッターを切る。
そいつは60トンのクレーン車であった。
前タイヤだけじゃなく、後ろタイヤもキコキコと動く。
まるで虫のように、目的のポイントへと的確に迫るのである。

もうここから完全にプロのみなさんの仕事である。
ヨシヒロ君を除いて、サルシカ隊のキヨちゃん、やっさん、かっちゃん、写真師マツバラ、ワタクシは現場から離れる。

そしてワタクシは仕事のため現場を離脱。
写真師マツバラも名古屋で学校の講義があるために離脱。
代わりにエネオス稲ちゃんがカメラマンとして現場へ到着!
なんとも素晴らしい連携プレーなのである。

午前10時。
また別の大型トラックがやってくる。
荷台には巨大な鉄骨のフレームが。

それはトレーラーハウスをつぶさずに持ち上げるためのフレームで、今回のためだけにつくられたオリジナルのものであった。

その場で組み上げられたフレームをクレーンの先に装着し、トレーラーハウスの上空へ。
なんとも凄まじいスペクタクルなのだ。
近所の人たちも、いったい何事なにかとぞろぞろやってくる。
写真を撮っている人もいた。

トレーラーハウスの底の鉄骨フレームにワイヤーを通し、上空のフレームに結びつける。
そしてゆっくりとトレーラーハウスを持ち上げる。

「右! 右が下がってる!」
「前が上がりすぎ!」

作業員の男たちの声が響く。
そして手でクレーンの操縦士に合図を送る。

空高くトレーラーハウスを持ち上げるのかと持ったら、違った。
少し持ち上げたところへ、先ほどのフレームを運んできた大型トラックがバックで入り込んできた。
そのままトラックの荷台にトレーラーハウスを載せ、運んでしまおうという作戦なのだ。
古いためにタイヤや足回りが走行に耐えうるかどうか不安なために講じた策である。

ここでも作業員の声が響く。
ここでのズレは移動中の大きなトラブルにつながる。
慎重に、慎重にトラックへと乗せていく。

固定させるための木をかませ、ズシリとトレーラーハウスはトラックの荷台に収まった。

トレーラーハウスを荷台に載せるトレーラー(笑)。
親ガメのうえに子ガメじゃなくてさらに親ガメを乗せて・・・という感じである(笑)。

作業開始から3時間。
お昼前になってようやく運び出しの準備が終了した。

が、これからが移動と搬入なのだ。

「おおおおおおおおお~」

作業員とサルシカ隊員のどよめきの中、トレーラーはその巨体をのっそりと動かし、道へと出た。
これから津市美里町まで15キロの移動である。

この続きは後半にて!!